ポルトガル代表のユニフォームに身を包み、サッカー界最高峰の大会であるワールドカップで、世界チャンピオンの座を目指したクリスティアーノ・ロナウドの挑戦は、ついに終焉を迎えた。
 現地時間7月6日、北中米W杯のラウンド16でポルトガルは、同じイベリア半島に位置するスペインと対戦。試合は終始、スペインを相手にポルトガルは劣勢の展開を強いられる。ロドリにペドリ、アイメリク・ラポルテらによるパスワークの前にペースを握られ、至宝ラミン・ヤマルにはしなやかで切れのあるプレーでゴールへと迫られる苦しい時間が続いた。
 それでもポルトガルはタイトな守備で最終ラインを堅守し、試合はスコアが動かないままアディショナルタイムへと針は進む。しかし、延長戦突入も考えられた91分に決勝ゴールを許し0-1で敗戦を喫した。
 最後のW杯との思いを秘めてプレーしていたロナウドは、志半ばで大会を去ることとなった。試合後のCR7の表情は、長きに渡るW杯の舞台でのプレーに満足した晴れやかさを覗かせながらも、圧倒的に悔しさが滲んでいた。
 今大会はなんと言ってもスター選手の活躍が目に留まる。リオネル・メッシ、キリアン・エムバペ、ハリー・ケインにアーリング・ハーランドと大会を彩る主役たちが揃って光彩を放っている。そうしたなかでロナウドも負けじとプライドを見せた。3得点を挙げて、W杯史上初の6大会連続ゴールの新記録を打ち立てたのだった。
 ただ、カメラのファインダーを通して全盛期のプレーを見てきた身としては、ロナウドは徹底した自己管理によって、驚くべき強靭な肉体を維持しているものの、4年前のカタールW杯から圧倒的な存在感を放つのは難しくなっている印象を受ける。
 世界のサッカーシーンのトップ中のトップを駆け抜けていたころは、爆発的なスピードを武器にチャンスメイクからゴールゲットまでを担っていた。相手守備陣を無力化する高速ドリブルは無敵で、放つ無回転シュートは強烈。攻撃のオールラウンダーとしてチームを牽引していた。
 だが、W杯の舞台では前回大会から切れ味鋭いドリブルは明らかに少なくなり、そのプレーの幅は限られ、味方が作ったチャンスの総仕上げとなるゴール前での仕事に専念している。今大会もセンターフォワードとして、仲間からのラストパスをゴールへと突き刺す役目を担っていたが、どうしても物足りなさを感じずにはいられなかった。
 そうして迎えたスペイン戦。ポルトガルは全選手がスペインの攻守に渡るハイレベルな展開の前に、思い通りにプレーすることができずに終わった。特に厳しいプレッシャーに晒される前線では上手くボールが繋がらず、もどかしい味方のプレーにロナウドは苦い表情を作ることがあった。その感情は下降線にある自分自身のプレーに対しての苛立ちでもあったのかもしれない。
 結果的にロナウドはワールドカップを手にすることができなかった。しかし、彼のこれまでのW杯のピッチで見せた気迫に満ちたプレーは、人々の記憶に深く刻まれたはずだ。時が流れたとしてもチームが苦戦するなかで奮闘する姿や、ゴールを決めた歓喜の表情を多くの人が思い出すことだろう。
 そして、思う。こうして強豪国のスター選手たちを改めてライブで見ると、彼らには精神の根底において共通点があることに気付かされた。それは自らのプレーへの絶対的な自信である。強烈な意志を表に出す場合もあれば、心の内に秘めているケースもあるが、彼らからは自己を絶対視する姿勢が強く感じられた。
 ロナウドも例外ではなく、たとえ衰えによって思い描く動きができなくても、ひたすら自らのプレーを信じてピッチに立っていた。人々の注目を受けるスター選手がゆえにアンチも存在し、このスペイン戦でも“CR7”はブーイングを受けていた。もちろん、それ以上に絶大な声援も向けられていた。そうした熱烈な声援と、苛烈なまでのブーイングという対極にある外部からの反応を自然体で受け入れ、それを力に変えてプレーする姿にはサッカー選手として凛とした美しさがあった。
 やはりポルトガルの背番号7は最後までクリスティアーノ・ロナウドだった。


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