梅雨も明けない6月下旬でも関東甲信地方では30度を超える真夏日が続いた。去年の6月の平均気温は23.1度だったが今年は24.1度と1度上昇した。去年の平均気温は7月が28.7度、8月は29.0度だったことを考えると、今後より厳しい暑さを覚悟したほうがいいかもしれない。
 2026年に予定されているJリーグの秋春制移行では、5月末に閉幕し、8月第1週に開幕することになっているので、この6月、7月の時期は避けられるようになっている。選手はホッとすることだろう。
 そしてこの2か月のシーズンオフに加えて、12月第2週から2月第3週までの約2か月、ウィンターブレイクが設けられる予定だ。つまり合計4か月間、試合のない期間がある。
 では、ヨーロッパで20チーム構成になっているリーグはどんなスケジュールで試合をしているのか考えてみよう。まずイングランドのプレミアリーグ、2024-25シーズンは8月16日に開幕し、ウィンターブレイクはないまま5月25日の第38節で閉幕した。2025-26シーズンも8月16日開幕なので、クラブは約3か月のシーズンオフを挟んでいる。
 2024-25シーズンのスペイン、ラ・リーガは8月15日に開幕し、12月末からブレイクを挟むと、5月25日の閉幕を迎えた。2025-26シーズンも前シーズンと同時期に開幕すると、約3か月のシーズンオフとなる。イタリアのセリエAは8月17日に開幕し、ウィンターブレイクを挟まず、5月25日に最終節を迎えた。こちらも約3か月のシーズンオフとなる。
 20チーム構成のイングランド、スペイン、イタリアは長期ウィンターブレイクがないのだ。ドイツは8月24日に開幕し、12月21日から1月11日までウィンターブレイクを取り、5月16日に閉幕したため、約3か月のシーズンオフと約3週間のブレイクがあるのだが、ブンデスリーガは18チーム構成で、20チーム構成のリーグと比べると4節少ない。
 つまり、日本は同じチーム数で構成されるヨーロッパのリーグよりもプレーしない期間が1か月多い。これが何を意味するかというと、試合日程の過密化だ。
 現時点でもJリーグは様々な工夫を凝らしている。例えば、代表戦が行われるインターナショナルマッチウイークにもカップ戦を入れたり、代表戦と下部リーグの日程が重なることを容認したり、あるいはリーグカップ戦の方式を見直して試合数が過度に増えないよう調整したりといった対応が行われてきた。
 また、春秋制の課題の1つだったのが、台風シーズンにあたる秋に延期となった試合の消化である。これまでリーグ最終戦までに組み込もうとすると、過密度がさらに増してしまうという問題点があったが、秋春制への移行によって解消される。
 だが、それでもさらなる過密日程は新たな問題点を生み出す。
 1つ目は興行的な問題だ。水曜日は入場者が大きく減少する。例えば今シーズン、土日に開催されたJ1リーグ第2節の平均観客数は2万622人だった。ところが水曜に開催された第3節の平均観客数は1万1555人と、40%以上の下落を見せた。集客は入場料収入とともに広告収入にも関係してくる。平日の試合が増えれば増えるほどクラブの財政状況に影響が出てしまうだろう。
 2つ目は、4か月もサッカーの試合がない期間があり、社会の中でサッカーのプレゼンスを維持できるかどうかということだ。ただでさえ現在は練習を非公開とする日数が多いクラブが増えており、日頃からニュースになりにくい。野球のように毎日試合があって日々ドラマが生まれるスポーツではないのだ。
 クラブはオウンドメディアを充実して情報発信をしようとしているが、試合の放送が会員制の配信になっている今、新規観客獲得を考えるとJリーグが各地方局と手を携えて行っているテレビ番組に大きく頼らざるを得ないだろう。しかし、週1回の15分~30分の番組で開拓したり繋ぎ止めたりすることがどこまでできるのか。
 そう考えると、どうしてもブレイクやシーズンオフを短くせざるを得ない。しかし、プレシーズンの準備期間を短くすることは選手のコンディションやチーム作りを考えると不可能だ。となると、見直しの対象となるのは、ウィンターブレイクの期間ということになる。
 当然ながら、積雪地域に本拠地を置くクラブは、今のままでは冬期にホームでの練習も試合を行うことが難しい。そのため、設備や集客手段などをJリーグ主体で解決するか、あるいは積雪地域のクラブはホームで試合ができない時にアウェーゲームが続く日程をこなし、逆にホーム開催が可能な場合は対戦相手のアウェー戦が続くような日程を考えるか、現実的な対応を考えていかなければいけないだろう。
 2026年のシーズン移行直後はワールドカップ開催に伴う日程変更も重なり、こうした日程問題は短期的には見えにくいかもしれないが、今後の検証では必ず浮上してくるはず。シーズンを移行して終わりではなく、そこから生じる様々な課題を解決してこそ、秋春制が定着していくはずだ。


※海外サッカーのランキングをチェック♪

掲載元:FOOTBALL ZONE/フットボールゾーンFOOTBALL ZONE/フットボールゾーン
URL:https://www.football-zone.net/archives/598204