サッカー日本代表は6月10日、パナソニックスタジアム吹田でW杯アジア最終予選のインドネシア戦に臨み、6-0で圧勝した。試合前からサプライズとなったのはMF久保建英(レアル・ソシエダ)がキャプテンマークを託されたこと。森保一監督の期待に応えるかのように1ゴール2アシストと活躍した久保を、現地で試合を観戦した元日本代表の柿谷曜一朗氏も絶賛。キャプテンを託された24歳へ期待を抱いた。
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 背番号10がイキイキとしていた。左腕に巻いた黄色のキャプテンマーク。前半19分にデザインされたショートコーナーからのこぼれ球を華麗な足技から右足でゴールへ蹴り込んだ。同アディショナルタイムには鎌田のゴールを、後半13分には町野のゴールをお膳立て。1ゴール2アシストで3得点に絡んだ久保が躍動した。
 柿谷氏はこの日の試合をスタジアムで観戦していた。目の前で次々にゴールに絡む久保の姿を目にし「あれだけ自由に彼がプレーしたら、インドネシアの選手がかわいそうなくらい。10番、キャプテンが活躍するチームっていうのは見てて気持ちがいいですね。今までもそうですけど、子供たちはさらに久保くんみたいになりたいと思うでしょうね」と称賛した。
 もともと、柿谷氏は久保の力を高く評価してきた。アルゼンチン代表のリオネル・メッシのように、常に久保にボールを触らせる“メッシ=久保作戦”を唱えるほどだった。この日の久保は縦横無尽にピッチを駆け回り、ボールに絡んだ。「久保選手が(周囲を)自由に使っていたから『このやり方でいけば、すごい世界で、もしかしたら戦えるかもしれない』っていう思いがちょっとあった」と柿谷氏も唸るほどだった。
「久保選手がいて、いつもだったらその周りに堂安選手や三笘選手、南野選手っていう1人1人が中心となれる、スター選手がいる。それだと1人1人が輝くんだけど、今日だと町野くんがいて、三戸くんがいて、森下がおって。3人ももちろんすごい選手なんやけど、いつもとは違う。本人たちがどう思ってるかは別として、久保選手に気を使ってるようなプレーをしてるように見えた。もちろん『自分が、自分が』ってならないといけないけど、その方が(久保選手が)ボールを触れる。今日は90分の中で久保くんがボール持ったら、ほぼほぼゴール前まで行けていた」
 今回、W杯アジア最終予選を戦ってきた森保ジャパンの中心メンバーの多くが招集を見送られた。このインドネシア戦ではいつもと顔ぶれの異なる、経験の浅い選手たちが久保の周りを固めた。図らずも久保にボールが集まり、チャンスメークも、シュートも久保がタクトを振った。久保の背後にはMF鎌田大地が控えていたこともあって、柿谷氏から見ても「すごいやりやすそうにやってるな」と映ったという。
 とはいえ、W杯でこの戦い方をする可能性は高くない。森保ジャパンの攻撃陣は久保のほか、今回選ばれていない堂安律、南野拓実、三笘薫らがコアメンバーだ。柿谷氏も「(久保を含む)この4人で(W杯も)行くと思う。4人が活躍することが一番望ましいし、この4人が活躍してくれれば優勝すると思う。ただ久保くんが10番をつけて、あれだけ気持ちよく周りを使いながらやっちゃうと、3人にもちょっと火が付いたと思う」と、この日の久保の働きが他のメンバーに与える好影響に期待する。
 活躍もさることながら、驚きだったのは森保監督が久保にキャプテンマークを託したことだ。柿谷氏は「日本中、見たくない人はいないんじゃない?っていうぐらいロマンもある」と、久保の10番&キャプテン起用について語った。森保監督がさまざまなチャレンジを見せたこの6月シリーズ。その真価が問われるのは、1年後のW杯の舞台だ。森保ジャパンに残された時間は、あと1年。これから世界の檜舞台で、彼らがどんな化学反応を見せていくのか。


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