2024-25シーズン終了まで1か月を切り、久保建英の去就が再び話題となる時期が来た。特に今季終了後、レアル・ソシエダを6年半率いてチームに大きな成功をもたらしたイマノル・アルグアシル監督とフットボールディレクターのロベルト・オラベがクラブを去るため、来季は久しぶりに変革期を迎えることになる。新体制となるチーム内ではメンバー構成に変化があると思われる。
 そんななか、日本では久保の去就に関するスペイン発のニュースがいくつも報じられている。最近は移籍先候補として、FCバルセロナやバイエルン・ミュンヘン、さらにはイマノル・アルグアシル監督の新天地候補とされるレバークーゼンなどが挙がっているが、その多くは信憑性に欠けるウェブメディアが出元となっている。クラブの地元紙から「プレミアリーグから複数のオファーがある」との報道もあるが、具体的なチーム名は出ていない。
 久保は5月4日のバスクダービー後の記者会見で来季の去就について質問された際、「僕には今のところ契約がある。僕の考えはラ・レアル(レアル・ソシエダの愛称)でプレーを続け、ラ・レアルがより良くなることだけど、監督と同じように先のことは分からない」と答えていた。
 このことを踏まえたうえで、今回はレアル・ソシエダのレジェンドの1人、ロベルト・ロペス・ウファルテ氏に久保について話を伺う機会を得た。
 ウファルテ氏は1970年代から80年代にかけ、スペインサッカー界で活躍し、引退後はソシエダでコーチングスタッフを12年務めた経歴がある。現在はスペインのラジオ局カデナ・コペなどでコメンテーターを務め、クラブの地元紙にコラムを寄稿している。しかし、移籍先候補の報道に関してはほとんど何も知らないとのことだった。
 左ウイングとして名を馳せた現役時代、15歳で3部リーグのレアル・ウニオンからデビューし、17歳で加入したソシエダにはキャリア最長の12年間所属しており、久保の大先輩にあたる。その後もアトレティコ・マドリード、ベティスでプレーし、トップリーグを通算14シーズン戦った。
 ソシエダ史上2番目の公式戦得点記録(474試合129得点)を保持し、ラ・リーガ2連覇(1980-81、1981-82。レアル・ソシエダ優勝はこの2回のみ)、スペイン・スーパーカップ(1982-83)、国王杯(1986-87)の4タイトル獲得するなど、クラブの黄金期を支えた。さらにその間、スペイン代表として15試合5得点を記録し、母国開催の1982年ワールドカップにも出場した。
 華々しいキャリアを持つクラブのレジェンドであるウファルテ氏は、久保の来季去就をどう捉えているのか。
――久保の印象について教えてください。
「まず初めに言っておきたいのは、久保はラ・レアルが擁する最高の選手の1人ということだ。私は彼のプレースタイルをよく理解しているので、これまで彼のことを何度も擁護してきた。私もラ・レアルで12年間、同じようにプレーしてきたからね。彼のプレーをとても気に入っているよ」
――久保の来季去就についてはいかがですか。
「移籍の可能性について、私からはなんとも言えないというのが正直なところだ。それは、彼やラ・レアル、そして彼と契約を結びたいクラブ次第なので、外からは現時点で何も分からない。彼がラ・レアルを離れるのはそう簡単なことではないと思うが、仮に移籍が彼にとってベストなのであれば、それは時間の問題だろう」
――スペインのウェブメディアがバルセロナを移籍先候補に挙げています。
「バルサには今、久保と同じレベルの優秀なサイドアタッカーが2人いるから難しいが、ビッグクラブには多くの選手が必要なので、可能性がないとは言い切れない。でも久保のプレースタイルを考えると、バルサより彼に適したチームはほかにあると思う。何よりも久保はすべての試合に出たがっている、ということを私は分かっている」
――バイエルンやレバークーゼンなども新天地候補に挙がっています。
「私たち(メディア)は今、あまりそのことを気にする必要はない。今季残りの試合を戦い終えれば分かることだ。久保は多くのチームにフィットできる選手だと思うが、どのチームであっても本当に自分に合っているのかをきちんと熟考し、慎重に選ばなければならない。それがとても重要なことだ」
――ソシエダが変革期を迎える来季、久保はこのまま残留すべきか、新たな飛躍を遂げるべきか。
「久保はすでにラ・レアルで成功を収めていると思う。つまりそれは、彼がこれまでいろいろなチームを渡り歩き、自分にとって理想的な場所を見つけられたことを意味する。彼はラ・レアルでの待遇や起用法など、すべてに感謝すべきだと思う。もちろんビッグクラブに所属すれば、得られる反響や名声はより大きなものになるだろう。しかし、私はこれまでラ・レアル、アトレティコ・マドリード、ベティスでプレーしてきたが、ほかのチームで成し遂げられなかったことをラ・レアルで成し遂げられたと思っている」
――来季残留する可能性は何%だと思うか。
「ほぼ残留するとか、100%とは言わないまでも、80%くらいだと思う。クラブは彼が去ることを望んでいないし、イマノルの後任を務めるセルヒオ・フランシスコも彼に去ってほしくないと思っているはずだ。そのため私は久保がサン・セバスティアンに留まるのは理にかなっていると思うが、サッカーの世界では何が起こるか……本当に分からない」
 久保の2024-25シーズンも残すところあと4試合。現地では欧州カップ戦出場権獲得が久保残留の条件とも言われている。そのためソシエダがどのようなフィナーレを迎えるかが、来季に向けて大きな鍵を握ることになるだろう。


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