
先制弾は後半13分、やや右寄りのFKを壁の外を巻くシュートで決めた。ボールが真横に回転しながら曲がっていくコース、スピードともに素晴らしかった。2点目は後半25分、今度は左寄り。ファーポストの上隅ぎりぎりにカーブしながら少し落ちるボールだった。意外だったのは、ライスのFKでの得点はこれが初めてだったこと。あれほど見事なキックを持っていて今まで決めたことがなかったそうだ。終わってみれば3-0の完勝だったアーセナルだが、ライスの2発で2-0にできたのは大きかった。
均衡した試合でセットプレーが決め手になるケースはよくある。ワールドカップ(W杯)もノックアウトステージになれば接戦が続く。延長やPK戦での決着になることは多く、前回のカタールW杯でもラウンド16の8試合でPK戦決着は2試合、準々決勝は4試合中2試合がPK戦。決勝のアルゼンチン対フランスもPK戦による決着だった。
2026年の北中米W杯は参加チームが48に増加しており、ノックアウトステージはラウンド32からになる。グループステージを勝ち抜いてもまだベスト32にすぎず、優勝するにはノックアウトステージで5試合を戦わなければならない。
日本代表はこれまで4回W杯グループステージを突破しているが、ノックアウトステージで勝ったことがない。ただ、いずれも僅差の勝負だった。2002年はトルコに0-1、2010年のパラグアイとはPK戦にもつれ、2018年のベルギー戦は2-0から3点を食らっての逆転負けだったがベルギーの決勝点は終了直前だった。2022年はクロアチアにPK負けを喫した。
次回もノックアウトステージでは接戦の連続になると考えたほうがよさそうだ。拮抗した試合ではセットプレーが重要になるが、現在の日本代表にFKのスペシャリストは見当たらない。
歴代の日本代表にはFKのスペシャリストがいた。木村和司、中村俊輔、遠藤保仁、本田圭佑とそれぞれの世代に名キッカーがいて、2010年大会のデンマーク戦は本田、遠藤のFKでゴールを奪っている。セットプレーからの得点は試合の流れとは関係なく、一種の飛び道具と言っていい。 現在はどのチームも専門のコーチを置くようになっているが、直接狙うとなるとキッカーの能力がほぼすべてだ。左足なら久保建英、堂安律。右足だと伊東純也、菅原由勢あたりが候補だろうか。ただ、蹴れる選手はいてもスペシャリストという感じの人は今のところ現れていない。
アーセナル対レアル・マドリードでは、2つの得点になったFKはいずれもブカヨ・サカがファウルされて獲得したものだった。日本はドリブラーに恵まれているので、FKのチャンスは期待できる。それだけにスペシャリストが出てきてほしいところだ。 ライスのように、ある日突然2点も立て続けて決めることもあるわけで、歴史的ゴールをFKから決められる選手の台頭に期待したい。
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