
そして、エリキはこちらのカメラを探し出すと満面の笑みで、井手口陽介に一緒に写真に収まるように促す。静かな笑顔とはいえ、普段はクールでポーカーフェイスの印象が強い井手口がカメラに向かって、こうした表情を見せるのは珍しいのではないだろうか。そして、佐々木大樹と前川黛也も加わり、今シーズンのリーグ初勝利を笑顔で表した。まさにエリキの快活さがチームメイトに伝播した4ショットだ。
エリキの人物像を評すると感情表現が豊かで、陽気な南米人の典型だと思う。FC町田ゼルビア時代でも試合に勝利し、スタンドのサポーターたちに向かって挨拶をしているときも、カメラを向けると屈託のない笑顔を作ってくれた。ときにはこちらが彼の母国語を解せるからか、エリキの方から近寄って来て、カメラのレンズを覗き込みポーズをとることもあった。
2023年、町田のJ1昇格の原動力となったエリキだったが、シーズンの終盤に全治8か月を要する大怪我を負っている。昨年の5月に復帰を果たしたものの、チーム内において圧倒的な存在感を発揮することができずにシーズンを終えていた。それでもエリキはたとえ自身のプレー時間が短かったとしても、チームが勝利すれば笑顔をサポーターへと振り撒いていたのが印象に残っている。ただ、それでもサッカー選手として自分の置かれた現状に、思うところがあったのだろう。より多くの時間でピッチに立ちたいという思いが、チームを変える決断へと至ったようだ。
そして、リーグ初先発となった湘南戦で、開幕から上昇気流に乗れない神戸を勝利へと導いた。元気印のエリキの活躍によってもたらされたこの勝利は、結果が出たことはもちろん、チーム全体が活気を取り戻すきっかけとなったのではないだろうか。カメラに向かって笑顔を見せるエリキを中心とした彼らの表情が、それを物語っているように思う。
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