レアル・ソシエダの久保建英は今季、スペインでのプロキャリア6年目を過ごしているが、今やラ・リーガでも屈指のタレントとしてその地位を確立している。それは彼のアイデンティティーとも言える圧倒的な“ドリブル力”によるところが大きい。
彼のプレースタイルは時に自己中心的ではないかと指摘されることもあるが、その存在は間違いなくソシエダにおいて際立っている。10月27日のオサスナ戦(0-2)は長距離移動を余儀なくされた代表戦直後とあり、久保はベンチスタート。しかし、2点のビハインドを負ったことで後半最初から投入されると、45分間でその力を存分に見せつけた。
ピッチに立つや否や自陣でボールを受けると、いきなり中央突破してシュートを放つ。その後も高いキープ力を生かして右サイドを占拠し、次々とクロスやシュートを狙っていった。最終的にチームは公式戦3試合ぶりに敗れたが、現地では後半のみの出番でドリブル成功率100%を記録した久保がベストプレイヤーと評価された。
5年前、少年時代に過ごしたスペインに再び戻った久保は、持ち味の“ドリブル力”を武器に着実にステップアップしてきた。その能力を初めて示したのは、弱冠18歳だったマジョルカ初年度の2019年9月のことで、ラ・リーガデビューからわずか2戦目のアスレティック戦だった。
0-0の後半途中に出場すると、終盤にペナルティーエリア内でベテランのDFユーリ・ベルチチェ相手に1対1を仕掛け、PKを獲得。アブドン・プラッツがそのチャンスを外したため、残念ながらスペインでのプロキャリア初勝利とはならなかったが、ホームスタジアムで才能の片鱗を見せつけた日本人に、サポーターは瞬く間にハートを鷲掴みにされた。百戦錬磨の左サイドバックを苦しめたこの試合は、スペイン国内に久保の名を知らしめるものとなった。
それ以降の活躍ぶりは皆が知るところだが、所属チームによってはレギュラー争いに苦労したり、保守的な戦いを余儀なくされたことで、コンスタントに活躍できない時期もあった。それでも、細かく柔らかいタッチの緩急あるドリブルを武器に、レアル・マドリードやFCバルセロナなどの強豪を含めて、さまざまなDFを苦しめてきた。
その能力の高さは、アトレティコ・マドリードをUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝に2回導いたディエゴ・シメオネ監督が「久保と対峙するのは簡単ではない」と口にし、毎回何らかの対策を施していることでも示されている。
とはいえ、ドリブル力を遺憾なく発揮できるようになったのは、攻撃面で優位に立てるようになったソシエダ加入以降だろう。
イマノル・アルグアシル監督の信頼を即座に勝ち取り、2トップの一角や右ウイングでプレーした2022-23シーズン、ラ・リーガでドリブル数99回、成功数49回でともに19位という結果を残した。
その成功率は50%。この年2部門(ドリブル数265回、成功数112回)でラ・リーガトップだったヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)の成功率が42%であることを考えると、十分な成績と言える。
右ウイングに固定された昨季は、序盤にキャリア最高のパフォーマンスを発揮したことで要注意人物と認識され、時に暴力まがいの激しいファウルで止められることもあった。それでも久保は怯むことなく、勇猛果敢に相手DFと対峙し続けた。結果、ドリブル数99回で18位、成功数55回で11位と前年の成績を超えている。
成功率は56%で、ジローナで2部門トップ(ドリブル数194回、成功数104回)のサヴィーニョ(現マンチェスター・シティー)の54%を上回り、久保のアイデンティティーが圧倒的なドリブル力であることを改めて証明するものとなった。
そして今季、久保はラ・リーガ全11試合(先発7試合)に出場しているが、ドリブル力は進化し続けている。
ドリブル数はチーム最多の43回と、過去2シーズンを大きく上回るハイペース。チーム内で次点のアンデル・バレネチェアが20回、セルヒオ・ゴメスが13回であることから、久保が如何に多くのドリブルを仕掛けているかが分かるだろう。
43回というのはラ・リーガ全体では9番目。その上にはバルセロナのラミン・ヤマル(69回)、レアル・マドリードのヴィニシウス(64回)、キリアン・ムバッペ(56回)、ラス・パルマスのアルベルト・モレイロ(50回)、オサスナのブライアン・サラゴサ(48回)、アスレティックのニコ・ウィリアムズ、セビージャのドディ・ルケバキオとチデラ・エジュケ(各46回)がいるだけだ。
成功数に目を向けると、久保は20回でチームトップ。セルヒオ・ゴメス(8回)とバレネチェア(7回)がこれに続く。ラ・リーガ全体のランキングでは、ヤマルとエジュケ(各31回)、ヴィニシウス(26回)、エムバペ(25回)、ルケバキオ(24回)、モレイロとサラゴサ(各23回)、ベティスのエズ・アブデとバジャドリードのラウール・モロ(各21回)に次ぐ10位である。
一方、久保の成功率は47%と過去2シーズンを下回っているが、主な原因として相手の警戒心がより強くなり、マークが集中しやすくなっていることが考えられる。しかし、ラ・リーガ最高のドリブラーであるヤマルの成功率が45%なので、申し分ない数字であることも確かだ。
また久保は空中戦を除くデュエルでも強さを見せている。ここまで49回勝利し、バレンシアのティエリー・コレア、ビジャレアルのイリアス・アコマックと並ぶ10位。トップはヤマルで76回となっている。
久保がラ・リーガで特に警戒されている選手であることは被ファウル数からも見て取れる。マジョルカのサム・コスタと並ぶ22回で5番目に多い。その上には、ヘタフェのクリスタントゥス・ウチェ(32回)、ヴィニシウス(31回)、ベティスのジオヴァニ・ロ・チェルソ(27回)、ヤマル(25回)がいるのみ。過去2シーズンの被ファウル数はそれぞれ48回と52回であるため、まだ27節残る今季、より多くのファウルを受ける可能性は非常に高い。
これらのデータを踏まえると、久保はその卓越した“ドリブル力”でラ・リーガ屈指のタレントとなっており、どの相手にとっても厄介な存在であることは間違いない。極度の成績不振に陥っているチームを救出するためには、久保がオサスナ戦で見せたようなパフォーマンスをコンスタントに発揮する必要があるだろう。
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掲載元:FOOTBALL ZONE/フットボールゾーンFOOTBALL ZONE/フットボールゾーン
URL:https://www.football-zone.net/archives/564717
彼のプレースタイルは時に自己中心的ではないかと指摘されることもあるが、その存在は間違いなくソシエダにおいて際立っている。10月27日のオサスナ戦(0-2)は長距離移動を余儀なくされた代表戦直後とあり、久保はベンチスタート。しかし、2点のビハインドを負ったことで後半最初から投入されると、45分間でその力を存分に見せつけた。
ピッチに立つや否や自陣でボールを受けると、いきなり中央突破してシュートを放つ。その後も高いキープ力を生かして右サイドを占拠し、次々とクロスやシュートを狙っていった。最終的にチームは公式戦3試合ぶりに敗れたが、現地では後半のみの出番でドリブル成功率100%を記録した久保がベストプレイヤーと評価された。
5年前、少年時代に過ごしたスペインに再び戻った久保は、持ち味の“ドリブル力”を武器に着実にステップアップしてきた。その能力を初めて示したのは、弱冠18歳だったマジョルカ初年度の2019年9月のことで、ラ・リーガデビューからわずか2戦目のアスレティック戦だった。
0-0の後半途中に出場すると、終盤にペナルティーエリア内でベテランのDFユーリ・ベルチチェ相手に1対1を仕掛け、PKを獲得。アブドン・プラッツがそのチャンスを外したため、残念ながらスペインでのプロキャリア初勝利とはならなかったが、ホームスタジアムで才能の片鱗を見せつけた日本人に、サポーターは瞬く間にハートを鷲掴みにされた。百戦錬磨の左サイドバックを苦しめたこの試合は、スペイン国内に久保の名を知らしめるものとなった。
それ以降の活躍ぶりは皆が知るところだが、所属チームによってはレギュラー争いに苦労したり、保守的な戦いを余儀なくされたことで、コンスタントに活躍できない時期もあった。それでも、細かく柔らかいタッチの緩急あるドリブルを武器に、レアル・マドリードやFCバルセロナなどの強豪を含めて、さまざまなDFを苦しめてきた。
その能力の高さは、アトレティコ・マドリードをUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝に2回導いたディエゴ・シメオネ監督が「久保と対峙するのは簡単ではない」と口にし、毎回何らかの対策を施していることでも示されている。
とはいえ、ドリブル力を遺憾なく発揮できるようになったのは、攻撃面で優位に立てるようになったソシエダ加入以降だろう。
イマノル・アルグアシル監督の信頼を即座に勝ち取り、2トップの一角や右ウイングでプレーした2022-23シーズン、ラ・リーガでドリブル数99回、成功数49回でともに19位という結果を残した。
その成功率は50%。この年2部門(ドリブル数265回、成功数112回)でラ・リーガトップだったヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)の成功率が42%であることを考えると、十分な成績と言える。
右ウイングに固定された昨季は、序盤にキャリア最高のパフォーマンスを発揮したことで要注意人物と認識され、時に暴力まがいの激しいファウルで止められることもあった。それでも久保は怯むことなく、勇猛果敢に相手DFと対峙し続けた。結果、ドリブル数99回で18位、成功数55回で11位と前年の成績を超えている。
成功率は56%で、ジローナで2部門トップ(ドリブル数194回、成功数104回)のサヴィーニョ(現マンチェスター・シティー)の54%を上回り、久保のアイデンティティーが圧倒的なドリブル力であることを改めて証明するものとなった。
そして今季、久保はラ・リーガ全11試合(先発7試合)に出場しているが、ドリブル力は進化し続けている。
ドリブル数はチーム最多の43回と、過去2シーズンを大きく上回るハイペース。チーム内で次点のアンデル・バレネチェアが20回、セルヒオ・ゴメスが13回であることから、久保が如何に多くのドリブルを仕掛けているかが分かるだろう。
43回というのはラ・リーガ全体では9番目。その上にはバルセロナのラミン・ヤマル(69回)、レアル・マドリードのヴィニシウス(64回)、キリアン・ムバッペ(56回)、ラス・パルマスのアルベルト・モレイロ(50回)、オサスナのブライアン・サラゴサ(48回)、アスレティックのニコ・ウィリアムズ、セビージャのドディ・ルケバキオとチデラ・エジュケ(各46回)がいるだけだ。
成功数に目を向けると、久保は20回でチームトップ。セルヒオ・ゴメス(8回)とバレネチェア(7回)がこれに続く。ラ・リーガ全体のランキングでは、ヤマルとエジュケ(各31回)、ヴィニシウス(26回)、エムバペ(25回)、ルケバキオ(24回)、モレイロとサラゴサ(各23回)、ベティスのエズ・アブデとバジャドリードのラウール・モロ(各21回)に次ぐ10位である。
一方、久保の成功率は47%と過去2シーズンを下回っているが、主な原因として相手の警戒心がより強くなり、マークが集中しやすくなっていることが考えられる。しかし、ラ・リーガ最高のドリブラーであるヤマルの成功率が45%なので、申し分ない数字であることも確かだ。
また久保は空中戦を除くデュエルでも強さを見せている。ここまで49回勝利し、バレンシアのティエリー・コレア、ビジャレアルのイリアス・アコマックと並ぶ10位。トップはヤマルで76回となっている。
久保がラ・リーガで特に警戒されている選手であることは被ファウル数からも見て取れる。マジョルカのサム・コスタと並ぶ22回で5番目に多い。その上には、ヘタフェのクリスタントゥス・ウチェ(32回)、ヴィニシウス(31回)、ベティスのジオヴァニ・ロ・チェルソ(27回)、ヤマル(25回)がいるのみ。過去2シーズンの被ファウル数はそれぞれ48回と52回であるため、まだ27節残る今季、より多くのファウルを受ける可能性は非常に高い。
これらのデータを踏まえると、久保はその卓越した“ドリブル力”でラ・リーガ屈指のタレントとなっており、どの相手にとっても厄介な存在であることは間違いない。極度の成績不振に陥っているチームを救出するためには、久保がオサスナ戦で見せたようなパフォーマンスをコンスタントに発揮する必要があるだろう。
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