サッカーは選手、スタッフ、レフェリー、記者・解説者、フォトグラファーなど、それぞれの立場から見える世界がある。22歳の時からブラジルサッカーを取材し、日本国内、海外で撮影を続ける日本人フォトグラファーの徳原隆元氏が、日本対韓国の一戦を現地取材。カメラマンの目に映った独自の光景をお届けする。
◇ ◇ ◇
「よし最後、強いの一本走ろう」
試合前、ウォーミングアップを行う日本の選手たちに、松本良一フィジカルコーチの言葉が飛ぶ。コーチからの指示を受けた選手たちは、ダッシュの仕上げというように猛然と豊田スタジアムのピッチを蹴って、バックスタンドのサイドラインを走り抜けて行った。選手たちに闘志がみなぎっているのは明らかだった。
しかし、彼らの勝利への気概が見られたのは何もこの時だけではない。カメラの広角レンズの向こうに捉えたウォーミングアップを行うサムライブルーたちは、ピッチに姿を現した時から水沼宏太が手を叩いては声を出して仲間を鼓舞し、西村拓真が颯爽とランニングを行い、勝利のための準備を着々と整えていた。
さらに、ダッシュの後のパス回しの鳥籠でも湿度71%、気温27.8度と蒸し暑さがスタジアムを包む状況をモノともしない様子で実にアグレッシブな動きを見せることになる。まさに試合前から火が入りエンジン全開といった雰囲気が漂っていた。
4大会ぶりのE-1選手権制覇を目指す日本は最終戦で宿敵・韓国との一戦を迎えた。24日の中国戦をスコアレスドローで終えた日本にとって、すでに2勝を挙げている韓国相手に優勝するには勝利しか道が残されていない、厳しい状況が課された試合である。しかし、この追い込まれた状況にサムライブルーたちは怖気づくことなく、試合を前にして見るからに奮い立っていたのだった。
対して韓国の選手たちへとカメラを向けると、ウォーミングアップは日本ほどの激しさが見られず、体力の消耗を抑えるかのように準備を行っていた。試合までの臨み方はそれぞれだろうが、韓国の流れにはどこか消極的な印象さえ受けた。
結果的にピッチレベルから見ていて東アジアの覇権を争う一戦は、この試合へと臨む姿勢が勝敗の行方を大きく左右したように思う。
戦端を切ったのは日本だった。ホームチームはキックオフから積極的な動きを見せ、試合の主導権を握る。マイボールとなれば素早くボールを前線へと運び、守備に回れば果敢に韓国の選手に競り勝って見せたのだった。デジタルメディアに記録された一瞬からも、そうした攻防の多くに勝利していたのは日本であったことが分かる。
これまでの韓国はどんな時でも、どんなメンバー構成であっても日本と対峙する時は手強い集団となって挑んできた。しかし、近年はもはや日本との対決に特別な感情を抱くこともなく、ライバルという意識が希薄にでもなっているのだろうか。そう思いたくなるほどアジアの虎はタフに戦う本来のスタイルが姿を消していた。
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掲載元:FOOTBALL ZONE/フットボールゾーンFOOTBALL ZONE/フットボールゾーン
URL:https://www.football-zone.net/archives/395462
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「よし最後、強いの一本走ろう」
試合前、ウォーミングアップを行う日本の選手たちに、松本良一フィジカルコーチの言葉が飛ぶ。コーチからの指示を受けた選手たちは、ダッシュの仕上げというように猛然と豊田スタジアムのピッチを蹴って、バックスタンドのサイドラインを走り抜けて行った。選手たちに闘志がみなぎっているのは明らかだった。
しかし、彼らの勝利への気概が見られたのは何もこの時だけではない。カメラの広角レンズの向こうに捉えたウォーミングアップを行うサムライブルーたちは、ピッチに姿を現した時から水沼宏太が手を叩いては声を出して仲間を鼓舞し、西村拓真が颯爽とランニングを行い、勝利のための準備を着々と整えていた。
さらに、ダッシュの後のパス回しの鳥籠でも湿度71%、気温27.8度と蒸し暑さがスタジアムを包む状況をモノともしない様子で実にアグレッシブな動きを見せることになる。まさに試合前から火が入りエンジン全開といった雰囲気が漂っていた。
4大会ぶりのE-1選手権制覇を目指す日本は最終戦で宿敵・韓国との一戦を迎えた。24日の中国戦をスコアレスドローで終えた日本にとって、すでに2勝を挙げている韓国相手に優勝するには勝利しか道が残されていない、厳しい状況が課された試合である。しかし、この追い込まれた状況にサムライブルーたちは怖気づくことなく、試合を前にして見るからに奮い立っていたのだった。
対して韓国の選手たちへとカメラを向けると、ウォーミングアップは日本ほどの激しさが見られず、体力の消耗を抑えるかのように準備を行っていた。試合までの臨み方はそれぞれだろうが、韓国の流れにはどこか消極的な印象さえ受けた。
結果的にピッチレベルから見ていて東アジアの覇権を争う一戦は、この試合へと臨む姿勢が勝敗の行方を大きく左右したように思う。
戦端を切ったのは日本だった。ホームチームはキックオフから積極的な動きを見せ、試合の主導権を握る。マイボールとなれば素早くボールを前線へと運び、守備に回れば果敢に韓国の選手に競り勝って見せたのだった。デジタルメディアに記録された一瞬からも、そうした攻防の多くに勝利していたのは日本であったことが分かる。
これまでの韓国はどんな時でも、どんなメンバー構成であっても日本と対峙する時は手強い集団となって挑んできた。しかし、近年はもはや日本との対決に特別な感情を抱くこともなく、ライバルという意識が希薄にでもなっているのだろうか。そう思いたくなるほどアジアの虎はタフに戦う本来のスタイルが姿を消していた。
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