磨きに磨いた熟練の技で観衆を魅了する職人がいる。横浜F・マリノスのMF水沼宏太は、その代表格だ。
 右サイドから放つクロスは絶品の一語。何しろ、高確率で得点に結びつく。当代随一のシロモノと言ってもいい。
 球種、球速、球筋は多種多様。さらに距離、角度、高低も自由自在。不変なのはピンポイントで受け手に届く精密なキックと「ここ」という場所とタイミングを逃さぬ認知能力の高さだ。
 今季も第20節までに6アシストを記録。この人が右サイドでボールを持つたびに、極上のスリルとサスペンスがピッチ上を覆いつくす。
 水沼と同じピッチに立つことは、点取り屋にとっての福音だ。サガン鳥栖時代の豊田陽平、セレッソ大阪時代の杉本健勇、横浜FMではオナイウ阿道、前田大然、レオ・セアラが水沼のクロスに生かされ、ゴールを量産している。


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掲載元:Jリーグ - Number Web - ナンバー
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