元ブラジル代表のジュニオールが引退したのは39歳だった。ジーコ、ソクラテス、ファルカン、トニーニョ・セレーゾのいた1982年ワールドカップ(W杯)のセレソンでは左サイドバックだったが元はMFである。35歳で復帰したフラメンゴでもMFとしてプレーしていた。その頃のジュニオールはチームメイトから「お爺ちゃん」と呼ばれていたそうだ。
 40歳近くまでプレーするとなると、お爺ちゃんはともかくチームに子供ぐらいの年齢の選手はいるわけだ。かつては30歳を過ぎたら引退するのが普通だったが、近年は選手寿命が延びていて、W杯に参戦する代表チームにも何人かの「お爺ちゃん」がいる。
「フィナリッシマ」で大活躍だったリオネル・メッシは34歳。コパ・アメリカ優勝のアルゼンチン代表とEURO優勝のイタリア代表がイングランドのウェンブリースタジアムで対決、メッシは完勝したアルゼンチンの攻撃をリードしていた。メッシをどう使うかは歴代チームの第一課題なのだが、今回は上手くクリアしたようだ。
 10代で出場した2006年ドイツW杯では控えだった。ポジションは右ウイング。2010年南アフリカW杯の時はチームの中心となり、4-2-3-1のトップ下だった。14年、ファイナルまで勝ち上がったブラジル大会もトップ下だったが、この頃はもうポジションがなくなっている。ディエゴ・マラドーナが「スポルティング・メッシ」と評した通りだ。前線近くで浮遊していて、相手選手の隙間でパスを受けたら一気に加速してゴールへ迫り決定的なプレーをした。18年のロシアW杯も“FCメッシ”に変わりはないが、右ウイングがスタートポジションだった。
 メッシが自由人なので、周囲はメッシのサポートと守備の肩代わりをするために動かなければならない。守備負担を最大限軽くしようとするならセンターフォワード(CF)がいいのだろうが、アルゼンチンは良いCFがいつもいるので「偽9番」は使いにくい。フィナリッシマではラウタロ・マルティネスと2トップのような形になっていた。以前よりもアシストへの比重も高くなるだろうから、相棒のストライカーがいたほうが良さそうである。相変わらず守備は免除されて周囲の負担はあるものの、攻撃時のキレ味は相変わらず凄い。周囲が支えてあげるだけの価値はあるわけだ。
 ブラジル代表ではネイマールが「お爺ちゃん」だ。まだ30歳なのだが、役割はほぼメッシと同じ。メッシも若い頃から「お爺ちゃん」な立場だったので、ネイマールが早く老けたわけではない。5-1で大勝した韓国代表との親善試合ではリシャルリソンとの2トップだった。相棒との守備負担が全然違うのもメッシと同じ。守備の時はシルバーシートに座っていてオーケーである。


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