
電話にはいつものアシマ夫人ではなく、グラーツで同居する次男のセルミルが出た。混乱し、興奮気味の私に、セルミルは淡々と説明した。前日までは普通に過ごし、夜に少し体調を崩したものの普通に寝たこと。家族のだれも気づかず朝起きたら亡くなっており、医師の正確な診断を仰がねばならないが恐らくは心臓麻痺であったこと。告別式はおそらく一週間後にグラーツではなくサラエボで行われるであろうことを、セルミルは私に落ち着いて語った。
長男のアマルはサラエボに残っていたが、たまたま長女のイルマはグラーツに滞在中で、亡くなる瞬間には立ち会えなかったものの、その場に居合わせることができたのは数少ない不幸中の幸いだった。アシマ夫人のためにも、イルマが傍にいるのはよかったと思った。夫人にくれぐれもよろしく伝えてくれと言って、セルミルとの電話を終えた。
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掲載元:サッカー日本代表 - Number Web - ナンバー
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