「バルセロナはシーズン中に自信を取り戻し、シーズン最初に見られていた弱点も克服されている。フランクフルトは悪くないチームだが、カンプ・ノウで勝てるようなチームとは思わない」
 元ブルガリア代表FWで1990年代にFCバルセロナで活躍したフリスト・ストイチコフのコメントがドイツ紙「ビルト」で紹介されていた。
 そうかもしれない。チームに足らないものはトップレベルのクラブと比べたらまだまだ多い。試合を決定づける点取り屋、試合を支配する中盤。個々の力で比べたら差は大きいのだろう。
 だが、その代わりフランクフルトには揺るぎない意志がある。ブレない団結力がある。そして、ファンタスティックなファンがいる。
 ビックマッチ前には、こぞってメディアはさまざまな予想記事を上げる。「奇跡を起こすための何か条」なんて見出しは世界共通だ。でも、本当にそんなことが起こるなんてほとんどの人が思っていない。
 でも、起きた。本当に起きた。世界有数のビッククラブであるバルセロナが満員のホームスタジアムでフランクフルトに敗れ去ったのだ。この試合、スタジアムには3万人近いフランクフルトファンがカンプ・ノウに殺到。アウェーの雰囲気をホームのそれに変えてしまった。
 バルセロナ会長のラポルタは、「恥ずかしいと感じる。相手サポーターはたくさんいたし、我々のファンは多くなかった。それが起こったことを非常に残念に思う。このようなことを許す訳にはいかない」という嘆きのコメントがスペイン紙では紹介されていたが、フランクフルトファンがどんな思いでこの試合、この大会に臨んでいたかをどこまで分かっているのか。
 UEFAヨーロッパリーグ(EL)のアウェー戦に数万のファンが大挙するクラブがほかにあるのだろうか。彼らはみんな飛行機でダイレクトにバルセロナへ飛んできたわけではない。普段であれば、格安チケットで往復50ユーロ(約7000円)で飛べることもあるが、おりしもイースター休暇というタイミングも重なって、往復500ユーロ(約7万円)以上にもなっていた。夜行電車を乗り継いで向かう者、交代で運転しながら車で向かう者、それこそ地中海を超えてアフリカのチュニジアまで飛んでから船とバスでバルセロナ入りをしたファンもかなりいたという。それこそ試合のチケットがないのに、バルセロナを目指したファンも相当数いた。


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