浦和レッズのGK鈴木彩艶は、ルヴァンカップ準決勝の第2戦セレッソ大阪戦0-1で終えて大会敗退が決まると、「この経験を還元できるように」と先を見据えた。
 浦和にとって、鈴木は2013年に設立された小学生年代の下部組織、浦和レッズジュニアの1期生であり、正真正銘の生え抜きと言える。ガーナ人の父と日本人の母を持ったアメリカで生まれで、190センチの雄大な身長からも浦和の将来を担うと期待され、16歳の時点でプロ契約が結ばれた。
 そして、18歳を超えて迎えた今季、正式にトップ昇格した。浦和は元日本代表GK西川周作がゴールを守り続けてきていたが、まずはルヴァン杯の開幕戦からチャンスを掴んだ。そして、グループステージ第5節までと、準々決勝、準決勝の4試合でゴールを守った。
 その間には、リーグ戦でミスのあった西川からポジションを奪い、逆に西川がルヴァン杯の試合に出た時期があった。さらに、夏には19歳にして東京五輪の代表にも選出された。出場機会はなかったが、もとより2024年のパリ五輪にオーバーエイジではなく参加できるコア世代なだけに、今や浦和だけではなく将来的に日本代表のゴールを守る存在としても期待される。
 それだけに、「トップに来ての公式戦デビューがこの大会でできて、そこから試合を重ねてゲームの中での成長も感じて、そこからリーグ戦にも関わることができた。自分がメインとなって出てきたからには決勝に、という気持ちでやってきた」という思いがあったからこそ、敗退への悔しさがあった。
 この第2戦では、角度のないところから相手FW加藤陸次樹にシュートを決められた。その場面を「少しシュートを打たれる前に時間があったので、そこで寄せることができれば弾けた、身体にぶつけられたのではないか」と悔しそうに振り返った。それでも、このルヴァン杯では西川やGK塩田仁史といったベテランのサポートを受けて試合に出場し、「自分が試合に出る時になれば、やりやすい環境を整えてくれた」と、感謝の言葉も話した。
 今大会のニューヒーロー賞に選出される可能性もまだ残す大器は、プロ初のタイトルこそお預けとなったが、若手の登竜門と呼ばれるルヴァン杯の今シーズンに確かな足跡を残したと言えるはずだ。


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