1990年代後半から2000年代前半にかけてジュビロ磐田の黄金期を支え、1998年フランス・ワールドカップ(W杯)に“10番”を背負って出場した元日本代表MF名波浩氏は、これまで選手としてはもちろん、監督としても数多くの名選手のプレーを間近で見てきた。そんな“一流”を知る名波氏の目に、19歳でスペイン1部の舞台で戦う日本代表MF久保建英(ヘタフェ)のプレーはどのように映っているのか。「サッカーの色気がまだ足りない」と語った名波氏は、日本サッカー「歴代の天才4人」の名前を引き合いに出しながら、久保に“結果”を求めた。(取材・文=Football ZONE web編集部・谷沢直也)
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 10歳でスペインの名門バルセロナの下部組織“ラ・マシア”に入団し、世界トップレベルの育成環境のなかで成長した久保は、Jリーグや年代別代表で数々の史上最年少記録を塗り替えながら階段を駆け上がってきた。名波氏はそんな久保の凄さについて、FC東京でプロ契約をしてJ1リーグデビューを果たした16歳の時点で、「大人のサッカーを熟知していたこと」と語る。
「16歳や17歳の選手は普通、ボールを持ったら2人、3人とドリブルで抜きたくなる。だけど久保は、ここで行ったら自分が(ボールを)ロストする可能性が高いと思ったら、あっさりとボールを離す。さらに何が凄いと言えば、離した後にプレーエリアを変えること。その距離が2メートル、3メートルの時もあれば、15メートルくらいパーっと走っていく時もあって、そのアイデアは僕が16歳か17歳くらいの時にはなかった。高校生の頃の自分は『良いパスを出したい』『トリッキーなことをしたい』がファーストチョイスで、離れたセカンドチョイスで人に任せるというところがあったけど、久保は当時からそのジャッジが素晴らしいし、サッカーIQはだいぶ高いと思います」
 同じレフティーから見て、技術面にも凄さを感じていた名波氏だが、選手としての変化を感じたのは2019年に横浜F・マリノスへの期限付き移籍からFC東京に復帰した時だという。
「(FC東京監督の長谷川)健太さんがレギュラーとして使い始めたあたりから、守備のハードワークが伴ってきて、チームにとって必要なエリアでファウルをもらうプレーとか、チームにとって必要なプレーの選択、今は前への推進力が必要な時か、タメを作る時かというジャッジが、チームメートに凄く伝わりやすくなった。そうなるとボールも久保のいた右サイドにどんどん流れてきて、後ろのサイドバックがバンバン前に出ていける。そこをおとりに使う、あるいはそこを有効に使いながら一気にスピードアップするなど、久保という1人の選手のキャラクターが完成形に近づいていったことで、チームの戦術も変わっていったように見えましたね」


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