開幕から8試合を消化して7勝1分。V・ファーレン長崎はJ2唯一の無敗チームとして、2位・大宮アルディージャに勝ち点差4をつけて第4節から首位を堅持してきた。昨年リーグ12位に終わり、1年でのJ1復帰に失敗したなか、J2屈指の戦力を巧みに操る手倉森誠監督と、ポテンシャルを引き出された選手たちの活躍で順調な戦いを見せている。
 今季の戦力は豪華だ。前線に元コロンビア代表FWビクトル・イバルボ、FW玉田圭司、ブラジルのアトレチコ・ミネイロから鳴り物入りで補強したMFルアン、中盤にはMF秋野央樹、MF加藤大、川崎フロンターレから期限付き移籍中のMFカイオ・セザール、最終ラインにはDF二見宏志、DF亀川諒史、DF徳永悠平、GKに徳重健太とJ2トップレベルの顔がズラリと並ぶ。
 この豊富な戦力を率いる手倉森監督はモチベーターとして知られているが、その本質は選手を状況に合わせて巧みに起用する「用兵家」だ。ここでいう「用兵」とは、目指すスタイルをシステムに落とし込んで戦う戦術家とは違い、選手の持つ個性をスタイルの要とすることを指す。
 昨季の長崎はリーグ22得点のFW呉屋大翔(現・柏レイソル)が目立つあまり、「戦術呉屋」と言われたこともあったが、それこそが手倉森監督の真骨頂だ。今季も前線のイバルボにボールを集める「戦術イバルボ」、プレッシャーの少ない中盤の底から秋野のフィードを生かす「戦術秋野」など、選手の特性を活用したスタイルを状況に応じて使い分け、それを戦術の多様さや強さへとつなげている。
 こういった采配をさせるには、監督の求める個性を集めなければならないが、昨季からの積極補強が功を奏し、それを可能にできる戦力が今年の長崎を支えているのだ。
 そんな長崎で台頭してきているのが、プロ5年目のFW富樫敬真だ。
 フリーランを生かした前線からのプレスや、相手の背後を突くプレーで重宝されてきた富樫だが、本来は決定力の高さとシュートへの積極性を評価されてきた選手である。2016年当時、U-23日本代表を率いていた手倉森監督も「オフ・ザ・ボールの動き、シュートに持っていくまでの動きが良い」と、ストライカーとしての動きに注目して富樫をメンバーに招集した。それだけにここ数年の富樫は、本来の特長が影を潜めていた感が強い。


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