残り1カ月を切った今季のセリエAで、チャンピオンズリーグ出場権争いがいよいよ熱を帯びてきた。
 スクデット8連覇を達成したユベントスの本選出場は確定済みで、2位ナポリと3位インテルはほぼ安泰。残るは1枠のみだが、これを巡って実に5クラブがひしめき合う混戦模様だ。
 33節終了時点で4位(勝点56)に並ぶミランとアタランタから8位ラツィオまでの勝点差はわずかに4ポイント。
 未曾有の乱戦を制し、CLへの扉をこじ開けるのはどのクラブか。
 意外な伏兵は、ダークホースならぬ“トーロ(雄牛)”の愛称を持つトリノだ。
 33節までの総得点42は出場枠を争う5チーム中最少と心許ないが、守備に目を向ければ29失点はリーグ全体のベスト3に相当する鉄壁ぶり。守備陣はライバルたちの中で最も堅い。
 何より積み重ねた勝点53が、勝点3制度が導入された'94年以来クラブ史上最高の好成績で、選手たちに自信が漲っている。
「(波風のない9位で終わった)去年の今頃は残り5試合の時点で戦う目標もなくてシーズンは終わったも同然だった。だけど今年はちがう。俺たちにはまだ欧州カップ戦への扉が開いている」(GKシリグ)
宝の山であるCLに出られれば……。 大会賞金総額が約20億ユーロにも達するCLは、欧州サッカー界の頂点を決める大会であると同時に宝の山だ。
 ユベントスは今季も準々決勝で敗退してしまったが、UEFAから支給される大会出場給/勝利給、ランキングボーナスと放映権料に、チケット売上などを加えた最大1億3300万ユーロ(約167億円)が彼らの金庫に振り込まれるという試算が出ている。
 ミラノの2強やローマ勢は大会出場によってもたらされる莫大な収入を目当てに、先行投資として戦力補強に何十億円も注ぎ込む。とらぬ狸の何とやらだが、仮に出場を逃せば損失も大きい。最終節に向けて焦りや悲壮感も募るが、そこまでしてでも出たいと思わせる魅力と経済的見返りがCLにはあるのだ。
 CLに出るだけで、クラブには大会参加賞金1525万ユーロが支給される。
 トリノの選手年俸総額(税抜)は約4300万ユーロだから、その3分の1強が賄える計算だ。


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掲載元:海外サッカー - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/839150