アズーリの春が満開だ。
 3月下旬に始まったEURO2020予選でイタリア代表は開幕2連勝し、予選グループJの単独首位に立った。
 注目すべきは試合のスコアだ。23日の初戦フィンランド戦と続く26日のリヒテンシュタイン戦で、イタリアは計8ゴールもの大量得点を奪った。
「1-0(ウノ・ア・ゼロ)の完封劇」こそ美徳とするはずの彼らに似つかわしくない大勝は、アズーリを縛る守備第一主義からの脱却を示唆している。
 予選開幕前夜、代表監督マンチーニは公約を掲げた。
「EUROに出場するのは当然。だが、それだけじゃ満足できない。(次のW杯予選シード権のために)国別ランクも上げる。そして、何よりゴールだ。明日の初戦から予選の最後まで、ゴールに次ぐゴールをお見せしよう」
 この春の主役は、弱冠19歳のFWモイゼ・ケアン(ユベントス)だった。
“守備の国”に現れた新星FW。 昨年5月にマンチーニ新体制が発足して以来の主戦だったFWインシーニェとFWキエーザの両ウイングがともに故障で欠場。そこで、マンチーニは大事な予選初戦の先発に、アズーリ史上初の“ミレニアム世代”(2000年以降生まれ)であるケアンを大抜擢した。
 ケアンは代表初先発の重圧をものともせず、まるで幼馴染みと草サッカーに興じるような軽やかさでフィンランド戦の74分に2-0となる代表初ゴールを決めると、6-0で大勝した3日後のリヒテンシュタイン戦でも先発フル出場。後半にチーム5点目となるヘディング弾を決め、10代にしてA代表2戦連発の離れ業を演じた。
 19歳と23日で決めたフィンランド戦の代表初ゴールは、イタリア代表歴代2位の年少記録に相当する。
 コートジボワール出身の両親を持つケアンは、類稀なフィジカルにあどけなさの残る笑顔を浮かべながら、自らの快挙を「最高の夜だ」と素直に喜んだ。自律を重んじるユベントスの育成組織出身者らしく謙虚さも備えるが、若者としての大志も抱く。
「まだまだ学ぶことばかりだ。僕の身近には(ユベントスの同僚である)クリスティアーノ・ロナウドがいて、毎日彼のそばで上手くなるのを実感している」


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掲載元:海外サッカー - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/838850