アジアカップ決勝が終わってから23時間と30分が経ったころだった。
 ドイツのハノーファー空港に原口元気は姿を現した。決勝の地アブダビからドイツのミュンヘンで乗り継ぎ、およそ10時間半の長旅だったが、疲れている様子も見えない。カートに乗せた荷物を持って到着ゲートから出てきた原口を直撃すると、「トレーナーが来るまでなら」との答えだ。
 トレーナーが来るのは原口の後の便で、少し時間があった。試合が終わってから24時間も経っていないからこその、生々しい感情がそこには浮かびあがっていた。
引かれた時の引き出しの問題。――昨日の決勝戦後、最初に交代を命じられたことについては仕方がないという趣旨の発言が意外に感じました。
「2点先行されて、相手に引かれた。客観的に見て、あそこまで引かれると、今の自分だとそんなに活きる展開ではなかったなと。自分自身、スペースがあってこそという部分はあるし。昨日の試合だけではなくて、ドイツでも引かれた相手を崩すのは慣れていないというか……。
 そういったクオリティー、アイデアは大会を通して、そんなに示せなかった。だから、ああいう状況であれば監督なら一番に代えるかもと、客観的にそう思ったかな」
――交代で下がったあとも、チームメイトが給水するための水を渡しに行ったり、試合後も槙野選手とともに真っ先にピッチで終了の笛を聞いた選手をねぎらいにいきました。交代にフラストレーションをためていないことはわかりましたが……。
「(原口の代わりに左MFに回った南野)拓実にクオリティーがあるのは知っているし、真ん中の強さが欲しくてヨッチ(※武藤嘉紀)を交代で入れるというのも理解していた。その決断に対しては、どうこう言わない。ああやって引かれたときのプレーのクオリティーやアイデア、引き出しの問題だと思うけど……」
――その解決策については?
「今後、考えていかないといけない。今シーズンはハノーファーでウイングバックやサイドバックもやったけど、監督が代わって、攻撃的なポジションで出ることが多くなると思う」
 原口が所属するハノーファーは成績不振でアンドレ・ブライテンライター監督が解任され、1月27日にトーマス・ドル監督が就任したばかりだ。
 ブライテンライター監督の下で原口はウイングバックで起用されることも多く、試合の展開によってはトップ下やサイドバック、ボランチのようなポジションでプレーすることもあった。ただ、4-4-2や4-2-3-1を採用するドル監督の下では、本来のサイドの攻撃的なポジションで使われることが多くなりそうだ。


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掲載元:サッカー日本代表 - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/833464