「ゴールの意味は……ないッスね。負けたので。日本にとって、この大会は優勝しないと意味がないと思って僕は戦っていた。優勝につながるゴールやチームへの貢献だったら、自分にとって意味があったと思いますけど、勝利につながっていないので悔しいですし、特別な意味はないです」
 アジア杯、カタールとの決勝に敗れた後、南野拓実はそう語った。自身の今大会初得点であり、一時は1点差に詰め寄ったゴールについて問われたときのことだ。
 ふてくされているわけではない。
 悔しさから口にしたこの言葉は、彼が日本代表で戦うにふさわしい心の持ち主であることを象徴していた。
 今大会、南野ほど日本代表という立場を痛感した選手はいなかったのではないか。
 ロシアW杯後に森保一監督のもとでスタートを切ったチームで、南野は最初の3試合で4ゴールを挙げ、注目度は一気に上がった。
 まるで日本の救世主かのように。
ゴールへの意識は変わらない。 当時、ゴールへの意識が大きく変わったのではないかと問われれば、こう答えていた。
「いや、それはセレッソのときから常にありました。大きく変わったというのはないかもしれないです」
 以前からゴールへの貪欲さはセレッソ出身の先輩たち――香川真司、乾貴士、清武弘嗣ら――を上回ると評されていた。また“レギュラーの座をつかんだのではないか”と話を向けられても、次のように返してチームの一員であることを強調した。
「全然ですね。チームメイトに信頼してもらえるように、個人としての結果だけではなく、チームを助けるプレーができればと思っています」
 しかし迎えたアジア杯、南野は準決勝までに10本のシュートを放ったが、ゴールネットを揺らせなかった。


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掲載元:サッカー日本代表 - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/833412