新たに招いたブラジル人監督による低迷と、火中の栗を拾う格好で急遽、監督に就任したクラブのOB。クラブ史上初のJ2降格という、究極のバッドエンドに終わった6年前のストーリーをなぞるような形で進んだ2018年のガンバ大阪だったが、結末だけは対照的な形で、2度目の悲劇は免れた。
 クラブタイ記録となる9連勝を飾った11月24日の長崎戦は、激動のシーズンにおけるホーム最終戦。パナソニックスタジアム吹田では、サポーターへの感謝を伝える恒例のセレモニーが行われていた。
 大ブーイングで迎えられた山内隆司社長のあと、マイクを握った宮本恒靖監督は「我々は来シーズン、このピッチでもっとレベルの高いことをやります」と力強い口調で言い切った。
「約束ごとなし」「戦力なし」「体力なし」というないない尽くしの中でチームの指揮を託された若きレジェンド監督は、9月以降、今野泰幸の戦線復帰とアジア大会で不在だったファン・ウィジョの再合流を追い風に、見事にチームを立て直す。
 Jリーグ史上例を見ない熾烈な残留争いの中で、ガンバ大阪は21年ぶりとなる9連勝を達成。当時首位を走っていた広島や、川崎、浦和など上位陣をことごとく打ち破って積み上げたタイ記録が、ケチのつけようがない快進撃だったのは事実である。
「そんな簡単ちゃうと思います」 しかしながら、宮本体制での2年目に、今季のスローガンだった「奪還」を期待するのは時期尚早というものだ。
 12月2日の解団式後、番記者たちに今季の手応えを問われた若き指揮官は、いわば「火事場の馬鹿力」的な勢いに後押しされた9連勝についても、浮つくことなく、こう言い切った。
「残留に向けて皆がパワーを持って1つの方向を向いてやったからこそ出たものもある。来シーズンはまた違うものになる」
 そして、自らに言い聞かせるように、大阪弁でこう続けるのだ。
「(来季は)そんな簡単ちゃうと思います」


※海外サッカーのランキングをチェック♪

掲載元:Jリーグ - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832983