湘南スタイルは、ついに第2章へ突入した。
 2012年にヘッドコーチから昇格した曹貴裁監督のもとで、湘南ベルマーレはくっきりとした個性を身に付けていった。豊富な運動量を土台に数多くの選手が攻守に関わり、試合終了のホイッスルを聞くまでアグレッシブな姿勢を貫くサッカーは、Jリーグ黎明期に“湘南の暴れん坊”と呼ばれたベルマーレ平塚当時の遺伝子を取り戻すものであり、いつしか湘南スタイルと呼ばれるようになった。
 他クラブと一線を画すベルマーレのサッカーは、対戦相手の監督や選手にも評価されるものである。観る者を惹きつける引力は、J1の強豪にも決して見劣りしない。
 それだけに、歯がゆかったはずである。
 曹監督とともに初めてJ1に挑んだ'13年は16位でJ2降格となり、1年でJ2へ逆戻りしてしまった。2度目のJ1昇格を果たした'15年は8位に食い込むものの、翌年は17位に沈んだ。
 湘南スタイルは勝つための手段だ。試合内容がどれほどスリルに満ちていても結果が伴わなければ、曹監督は、選手たちは、満足することができない。チームの戦いぶりを評価するファン・サポーターを、心の底から喜ばせることもできない。
「勝てないのは楽しくないよ」 3度目のJ1挑戦となる'18年こそ、湘南スタイルを結果へ結びつける──。
 シーズンインを告げる1月の新体制発表会見で、曹監督は明確なメッセージを発信した。
「勝利を究極に追求するチームにしたいですし、選手たちには『勝てないのは楽しくないよ。湘南はこういうスタイルで見ている人たちがわあって騒いでくれても結局は勝ってないでは、究極の喜びにはつながらないよ』という話をしたんです」
 リーグ戦ではスタートダッシュをかけられず、優勝争いにも絡めなかった。その一方で、J2降格やJ1参入戦のゾーン=16位以下まで順位を下げたことは一度もない。


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掲載元:Jリーグ - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832987