言いたいことや撮ったものをだれもが自由に発信できるようになったいま、ライターやカメラマンの間でしばしば議論になるテーマがある。
「じゃあ、プロってなによ?」ということだ。
 この議論は大抵、「お金をもらって記事や写真を発表できればプロでしょ」という結論に落ちつくのだが、今度は「じゃあ、お金がもらえる作品ともらえない作品の差って、どこにあるのよ?」と議論が続くこともある。
 そうなると「それはいいものか、そうじゃないものかということでしょ」という、ぼんやりした答えしか出ないまま収束していく。
 40代を過ぎて、私も一応「いいものとはなにか」ということに自分なりの答えを出せるようになった。それは「いいものとは人に無条件で言いたくなるもの」ということだ。
 それは記事や写真に限ったことではない。映画でも歌でも舞台でも本でも、いいものに出会うと、人はだれかに言いたくなるものだ。もちろんいい意味で。
中山、いいから見に行きなよ。「あの映画、絶対におもしろいから見に行きなよ」
 こういうことは、なかなか言えない。自分には一銭の得にもならず、下手をすれば友人関係も損なうことになるからだ。逆説的に考えれば、ほんとうにいいものだと思わなければ、リスクを負ってまで勧めることはできないだろう。
「あの選手、いいから見に行きなよ」
 Jリーグの試合でも、ときどきそう言いたくなる選手に出会う。
 今シーズンの終盤なら、柏レイソルの中山雄太だ。
 9年ぶりのJ2降格を余儀なくされた柏だが、最後の2試合は素晴らしく、セレッソ大阪に3-0、9連勝中のガンバ大阪に4-2と快勝した。その中で「ああ、いい選手だなあ」と唸らされたのが中山である。


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掲載元:Jリーグ - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832735