遠藤保仁というプレーヤーは、実に多くの「枕詞」で語られる選手である。
 冷静沈着、マイペース、泰然自若、クール、鉄仮面……。いずれの言葉も、稀代のプレーメーカーを構成する一部であるのは間違いないが、遠藤という男は、実のところ、根っからの熱血漢である。
 ガンバ大阪が勝てば、J1残留を確定させる11月10日の湘南ベルマーレ戦。遠藤はJ1通算600試合出場の大台に到達する。歴代最多は名古屋グランパスの楢崎正剛が持つ631試合だが、フィールドプレーヤーとしては史上初めての偉業である。
本人も「誇りに思う」偉業。 数字には興味がない、と公言してはばからない男が、600試合という大台を目前に、こんな言葉を口にした。
「プロ21年目で、ようやく到達できた数字。20年以上、プロの世界でやれていることはありがたいし、嬉しい。誇りにも思う」
 遠藤が胸を張るのは当然だ。J1のピッチに600回、足を踏み入れるだけでもすでに偉業だが、遠藤はその大半において主力としてフル出場。しかも、歴代最多出場記録を持つ日本代表との掛け持ちを長年続け、600試合という節目にたどり着いたのだから。
 抜群の戦術眼や、長短のパスを繰り出すキックの精度など、もはやプレーヤーとしてのヤット(遠藤)について多くを語る必要はないだろう。
 だからこそ、遠藤を間近で見続けてきた親友たちの証言も交えてその凄さを紐解いてみたい。


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掲載元:Jリーグ - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832451