日本サッカーの潮流を変えた男が、今シーズン限りでキャリアに幕を降ろすこととなった。日本代表として4度のワールドカップに出場した川口能活が、11月4日に現役引退を発表したのである。
 プレーは革新的だった。
 GKに対する理解がいまよりもっと乏しかったJリーグ黎明期に、川口はそれまで知られていなかったこのポジションの本質を提示していった。GKはシュートストップだけでなくポジショニングやコーチングが大事であり、空中を舞うセービングはあくまでも最終手段に過ぎないといったことを、ひとつひとつのプレーを通して啓蒙していったのである。
 攻撃の起点となるプレーも、つねに意識していた。キックの精度は抜群で、日本代表では中田英寿と、横浜F・マリノスでは中村俊輔とのイメージの共有は印象深い。フィールドプレーヤーとしての感覚に優れ、素早い攻守の切り替えを実現した。
 フォトジェニックでもあった。フィールドプレーヤーにカベの位置を指示するGKがテレビ中継で抜かれるようになったのは、1996年のアトランタ五輪における川口がきっかけだったはずだ。眼光鋭くシュートに対峙するその姿は、女性ファンはもちろんサッカー少年をも惹きつけた。彼に憧れてGKを志し、Jリーガーや日本代表まで登り詰めた選手は少なくない。
川口が登場しなかったら……。 川口能活という選手が登場しなかったら、日本におけるGKへの理解は進まず、広がりも持てなかっただろう。その結果として、GK人口も停滞していたに違いない。日本サッカーの潮流を変えたとは、そういう意味である。
 先進的だったのは、プレースタイルだけではない。日本人GKとして初めて海を渡った。ドイツと並ぶGKファクトリーと呼ばれていたイングランドへ、2002年の日韓ワールドカップを前に乗り込んだ。


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掲載元:サッカー日本代表 - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832410