Jリーグの歴史が、変わっていくかもしれない。
 10月27日に行なわれたルヴァンカップ決勝で、湘南ベルマーレが横浜F・マリノスを1-0で下した。1994年1月に国立競技場で天皇杯を掲げて以来、実に25年ぶりのタイトル獲得である。
 湘南ベルマーレというチームが語られる上で、'99年のクラブ存続の危機を外すことはできない。親会社だった建設会社フジタの資本撤退により、市民クラブとして生まれ変わったのだ。カテゴリーはJ1からJ2へ転落したが、とにもかくにもクラブは残った。
 責任企業を持たないクラブは、カテゴリーアップのための補強はもちろん、保有戦力の維持さえままならなかった。予算は限られている。それでもベルマーレがプレゼンスを高めていったのは、フロントと現場がピタリと歩調を合わせ、ありったけの情熱をクラブ全体へ注ぎ込んでいったからである。
高校生でもトップチームで起用。 トップチームの戦力と成り得る選手を自分たちの手で育てるために、アカデミーと呼ばれる育成組織の指導を充実させた。初々しくも眩しい才能の開花を促すために、高校生年代からトップチームで起用することも躊躇わなかった。
 浦和レッズへの移籍を経て現在はベルギー1部のシント・トロイデンでプレーする日本代表MF遠藤航は、2010年にベルマーレの一員としてJ1デビューを飾っている。当時17歳だった。
 育成力はアカデミーでのみ発揮されたわけではない。2009年に最初のJ1昇格を果たした反町康治監督のもとで、中堅やベテランが再生していく。高校や大学では無名と言っていい存在だった選手も、ベルマーレ入りをきっかけにメキメキと力をつけていった。
「他チームがウザいと思うほど仕掛けていくチームにする」との反町の方向性のもとで、全員が攻守にハードワークするサッカーがベルマーレのチームカラーとなっていった。


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掲載元:Jリーグ - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832324