『フランス・フットボール』誌9月11日発売号は、片腕のサッカー選手サンチャゴ・アロヤベを取り上げている。生まれながらにして身体的なハンディキャップを背負った19歳の青年は、ネガティブな感情に囚われることなく、自らの状況を客観視しながらプロへの道を歩もうとしている。
 どうしてそんなことが可能なのか。なぜ彼は、いつも明るく笑っていられるのか。ロムアルド・ガデベク記者がレポートする。
監修:田村修一
コロンビア1部リーグのひとりの青年。 この5月に青年はひとつの夢を実現した。育成されたクラブであるイタグイ・レオネス(コロンビア1部リーグ)から、カップ戦出場を果たしたのだった。その青年、サンチャゴ・アロヤベが辿った道のりは、そのまま人生の教訓になりうる。片腕で生まれた青年が、勇気と才能、そして強い情熱を持って生き抜いたのだから。
 その5分間はまるで永遠に続く至福の瞬間のようだった。5月3日、サンチャゴ・アロヤベは、コロンビアカップのデポルティボ・ペレイラ戦に途中出場し、公式戦初出場を果たした。いかにも10代らしい、痩身(170㎝、57㎏)のアロヤベは、目を輝かせながらこう語った。
「本当に驚いた。だって0対1で負けていて、残り時間は5分しかなかったから。ウォームアップを続けていたら、ベンチのみんなが僕を呼んでいる。『サンティ(アロヤベの愛称)、君が入るんだ!』と大声で叫んでいた。信じられなかった。どうして監督が、負けているときに僕を投入しようとするのか」
 彼はチームの敗北を覆すことはできなかった。だが、それでも彼の出場は大きな衝撃だった。


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掲載元:海外サッカー - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/832023