人柄がにじみ出ていた。9月8日、札幌から大阪への移動便。日本代表の森保一監督は、20席しかない上級シートを選手に譲り、堂安律、冨安健洋、伊藤達哉ら若手と一緒にエコノミークラスに座った。
 '00年シドニー五輪と'02年W杯日韓大会を指揮したフィリップ・トルシエ氏以来2人目となるA代表と五輪代表の兼任監督。U-21代表を率いてアジア大会(8月14~9月1日、インドネシア)に出場したため、8月11日から無休で働き続けていた。
 誰よりも疲労が蓄積していたはずだが、率先して手狭な座席に体を押し込めた。
 気遣いの人だ。森保監督は親善試合について話す際、スポンサーに配慮し「キリンチャレンジカップ」と必ずと言っていいほど冠名を付ける。
 9月6日に起きた北海道胆振東部地震の影響で、翌7日のチリ戦が中止になると、札幌合宿中だったチームも被災したにもかかわらず、被災者に寄り添うメッセージを送り続けた。
4バックは西野前監督への敬意。 迎えた初陣。9月11日のコスタリカ戦も、森保監督らしい采配を見せた。J1リーグを3度制した広島やU-21日本代表では3-6-1を基本布陣としてきたが、この試合では16強に進出したロシアW杯と同じ4-2-3-1システムを採用した。
「W杯にコーチとして参加させてもらい、西野(朗)監督から学ばせていただいたことを先につなげたかった」
 前任者をリスペクトする意味を込めていた。
 試合前のミーティングで森保監督は「個人の特徴を思い切って出してほしい」と指示したという。ピッチでは南野拓実、中島翔哉、堂安らフレッシュな力が躍動。1対1で積極的に仕掛ける場面が多く、攻撃陣の個性が表れた内容だった。


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掲載元:サッカー日本代表 - Number Web
URL:https://number.bunshun.jp/articles/-/831918